細胞や組織が破壊、あるいは変化を受けた結果、症状として現れる疾患を器質的疾患と呼び、多くの身体的疾患はこの器質的疾患に属します。

一般に器質的な原因不明の腰痛を非特異性腰痛と言うのですが、その様な腰痛の過程において腰部、臀部（尻）、大腿部（ふともも）、下腿部（膝関節から足首）まで広範囲に痛みや痺れが発現することがあります。

痛みやしびれの感じ方は人それぞれですが、ビリビリと強い痛みや、感覚が麻痺したようなしびれを感じることが多いと言われています。

痛みが出る場所も人それぞれで、腰からお尻にかけて痛い、腰からお尻太ももにかけて痛い、お尻から太もも、ふくらはぎにかけて痛い、ふくらはぎの裏側まで痛いなど、腰から足首にかけて広範囲で痛みを感じることがあります。

この様な状態を坐骨神経痛と自己判断する方もあれば医療機関や治療院などで、坐骨神経痛ですと告げられることもありますが、坐骨神経痛は病名ではなく症状です。

現在、坐骨神経痛の原因のとされるのが腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、梨状筋症候群などにより神経が圧迫されているから痛みを誘発しているとされているのですが、現代医学では、神経支配領域が解明されており、臀部（尻）はL1・S2（Lは腰椎、Sは仙椎）大腿部（ふともも）後面はS2、大腿部（ふともも）外側はL2の神経と特定されています。

人間が立位姿勢になり負担がかかるのは、腰椎の4番5番仙椎の1番間とされ、腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアの好発部位（病変が起こりやすい部位）とされていることを根拠に考察すると、ここから出る神経は臀部（尻）や大腿部（ふともも）とは無関係であり、一か所の腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアにより臀部、大腿部（ふともも）など広範囲に痛みや痺れが発現することはないということになります。

梨状筋症候群に関しても、梨状筋により坐骨神経を締め付けることで痛みが出現とされますが、髄鞘で覆われた神経を圧迫しても痛みは出ないことが確認されています。

そもそも神経は髄鞘という膜組織で包み込まれており、髄鞘は絶縁体の働きをしていますので、神経に触れても簡単に痛みが出ないようになっているので、神経が圧迫されて痛みや痺れが発現することはありません。

仮に坐骨神経が圧迫されて痛みが出るとするのであれば、自転車もブランコも痛くて乗れないということになってしまいます。

我々は神経をえぐられる様な痛みを体験をして神経に触ると激痛を発することを学習しているので、誰でも臀部から下腿部まで強い痛みに襲われると神経に何かが触れていると考えるのは当然の感覚です。

ですが、実際に痛みが出現するのは神経より浅い皮膚直下の痛みです。

このメカニズムを理解するには、前提としてファシアの大まかな概要の理解が必要になりますので、まずはこちらの記事をご覧になってみてください。↓

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広範囲に発現する痛みの正体とファシアの存在

ファシアは浅層ファシアと深層ファシアに大別されますが、連動して機能していることが確認されているので先進国では一器官としてとられようとする動きが出ています。

仮に、肝臓に何かの異変が起きているとした場合、肝臓の周りは深層ファシアで覆われていますので、「深層ファシアから右下肢の浅層ファシアに影響し、右臀部から下腿部の痛みとなる」というような状態になったりします。

ファシア内を痛みが伝播(広い範囲に伝わること)する事は、ボランティア対象の実験で確認されていますし、2018年に世界保健機構(WHO)が、ファシアを国際疾病分類（ICD）に追加しています。

※国際疾病分類（ICD）は、国際的に統一された死因及び、疾病の分類です。

厚生労働省のPDFでも、「ファシアが動きと痛みに大きく関わることが明らかになってきています。」と記されています。

当院では、腰や下肢など痛みの原因となっているファシアのゆがみや、負担がかかっている場所を独自開発のローラー鍼を使って探し出しお灸を行います。

何らかの理由でファシアの歪みが出現すると、そのストレスが中心とした背中にかかることが分かっています。

ファシアの歪みは下肢（股関節以降の脚）のファシアに伝わりファシア内で無菌性炎症が起き痛みが広範囲に出現するので、背部の脊柱にかかっている背骨の歪みやファシアの負担に対し丹念にお灸をすることでファシアのネットワークを通じ、坐骨神経痛や腰痛が改善する事例を多数確認しています。

健康保険適応の場合は医師の同意が必要ですが、自分で通院できるレベルの症状では同意して頂ける可能性が低く、自費治療となることが多いです。

ただし、訪問鍼灸の適応とみとめられるような高齢者や介護を受けなければ日常生活動(ADL)が困難なかたは保険適応になる場合がありますので、一度ご連絡ください。

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完全予約制のため、必ず事前予約をお願いします。