お悩み別専門治療
坐骨神経痛、膝痛、腰痛の原因には関連性がある
当院では今までに様々な疾患を治療してきましたが、初診の訴えで「坐骨神経痛」、「膝痛」、「腰痛」を訴える患者様が多いということに気が付きました。
この事実を長年検証した結果、坐骨神経痛、膝痛、腰痛の根っこは同じであると結論付け、この検証結果をベースに臨床研究を行うことで、坐骨神経痛、膝痛、腰痛に効果を発揮する実践的なお灸(新実践灸法)を開発することに成功しました。
新実践灸法は、坐骨神経痛、膝痛、腰痛において脊柱にかかっている背骨の歪み(サブラクセーション)やファシアの負担(ストレス)を検出し、丹念にお灸をすることで、坐骨神経痛、膝痛、腰痛が改善する事例を多数確認している画期的なお灸法です。
腰痛、膝痛 坐骨神経痛の様なお痛みの対応はもちろん、内蔵機能を活性化し基礎体温を上げる事で免疫力向上をはかりますので高齢者には特に効果を発揮しています。
当院の施術が画期的な理由
ヒトの神経、筋、血管、臓器、骨、腱などの隙間を埋めているものは結合組織と考えられていました。
ところが実際は、体液を満たし、相互に連結し合う区画であり、それが全身にネットワーク化されたものであることが分かってきました。
これを「間質」(ファシア)という新たな器官として定義するべきとの提唱ががなされています。
この「間質」(ファシア)を共焦点レーザー顕微鏡と呼ばれる機器(内視鏡の先端部に顕微鏡が付いている)で観察すると、間質内の体液の移動が確認でき、この体液はヒアルロン酸や免疫細胞などを含んでいることが分かっています。
当院はお灸で間質内の体液の流れを促し身体を変化させ、炎症を鎮めることにより変形性膝関節症の進行を食い止めることに成功しています。
また、前述したように、坐骨神経痛、膝痛、腰痛の原因が同じである可能性が高いため、同じように坐骨神経痛や腰痛、股関節痛など関連する症状に対してとても有効的な施術です。
坐骨神経痛とされるような広範囲の痛みも間質内の炎症によるものととらえて施術を行うことで好結果を得ています。
広範囲に発現する痛みの正体とファシアの存在
当院はファシアに注目しています。
一般的には余り耳にしませんが業界ではしばしば耳にする言葉で、最初国内に紹介された際に「ファシア=筋膜」と紹介されたようですが、先進国において非常に注目されています。
2022年5月イギリスの科学雑誌「New Scienntist」誌にファシアの特集が組まれ、原因不明の線維筋痛症や長引く慢性痛の原因はファシアが原因なのかもしれないと指摘されています。
当院ではファシアが生理機能を有するシート状の組織で体全体を覆っていると捉えています。
ファシアはそれぞれ独立して筋肉を包んでいるわけでなく、つながりあってお互いに影響を与えているので、ある部分のファシアが歪むことで別の部分の不調につながるケースがあると考えられます。
特に大きな手術を受けている方はファシアの歪みが出現し、そのストレスは脊柱を中心とした背中にかかります。
ファシアの歪みは下肢(股関節以降の脚)のファシアに伝わりファシア内で無菌性炎症が起き、痛みが広範囲に出現するので、背部の脊柱にかかっている背骨の歪み(サブラクセーション)やファシアの負担(ストレス)に対し、お灸をすることで、ファシアのネットワークを通じ膝や下半身の痛みが改善するという理論です。
江戸中期の医師・香川修庵著「一本堂行余医言」で現在の先天的側弯症や脊椎カリエスと思われる症状に背骨際のお灸をしたと記載されています。
ファシア(facia)は、日本整形内科学研究会が下記のように定義しています。
ファシア:全身にある臓器を覆い、接続し、情報伝達を担う線維性の網目状組織構造。臓器の動きを滑らかにし、これを支え、保護して位置を保つシステム。
筋膜:個々の筋線維、筋肉または筋肉群を包み、互いを分割および連結する線維性組織。筋や関節の動きを滑らかにしつつも、これらを制御して位置を保つ。
引用:日本整形内科学研究会
ファシア(facia)は日本語に訳すと、「筋膜」ですが、臓器、骨、筋肉、血管、神経などを覆う膜の相称です(筋膜もファシアの1つになります。)
浅層ファシアと深層ファシアが存在し、体の内側の広い範囲でつながっています。
丈夫なコラーゲン線維と柔軟なエラスチン線維で成り立ち、潤滑油のヒアルロン酸とプロテオグリカンを豊富に含んでいます。
ファシアは互いに張力を保ちながら存在しており、この張力のバランスが崩れることで骨格のくずれなどにつながり、疾患につながります。
成人のファシアは25億もの神経終末を含み、ファシア内を痛みが伝播する事が確認されています。
「ファシア=筋膜?」に対する質問には、ヘレン M. ランジュバン医学博士の以下の提案が分かりやすいと思います。
「筋膜」という言葉のさまざまな意味から生じる可能性のある曖昧さや誤解に注意する必要があります。なぜなら、この用語の一般的な意味は非常に曖昧で、ある種の結合組織以上のものを暗示している可能性があるからです。 「筋膜」には、疎な結合組織と密な結合組織、表層的な結合組織と深層的な結合組織、および多重層と単層の結合組織が含まれます。 コミュニケーションを促進するために、ここでは筋膜組織の特定の側面を説明するための 12 の具体的な用語を提案します。• 密な結合組織• 乳輪結合組織• 表層筋膜• 深部筋膜• 筋間中隔• 骨間膜• 骨膜• 神経血管路• 筋外膜• 筋内および筋外腱膜• 筋周膜・筋内膜キーワード: 筋膜、用語、結合組織、皮下組織、腱膜症
背部ファシアの異常を確認する検査
当院では、お灸前後の比較検査として、SLRテスト(下肢伸展挙上テスト)を行います。
従来は筋肉の緊張や仙腸関節の可動域をみる検査法とされていますが、ファシアの歪みや負担などの異常な部分を見分ける1つの指標になります。
ファシアが緩むと下肢の挙上角度が大きくなるなどの施術効果が確認できるため、背部ファシアの緊張状態をみる検査法として採用しています。
腰痛、坐骨神経痛、膝痛(変形性膝関節症)全てに共通の検査です。
施術の流れ
STEP
1
SLRテスト
施術前にSLRテスト(下肢伸展挙上テスト)を行い背部ファシアの緊張状態を確認します。(※SLRテストは一度改善すれば毎回は行いません。)
STEP
2
ファシアの検査
背骨の際をローラー鍼で棘突起(椎体後方より飛び出している骨の部分)に負担がかかっている部位を探します。
STEP
3
サムメタルリリース
サムメタルリーリスで、硬くなったファシア(筋膜)をゆっくりと緩めていき、一時的な痛みを改善します。
STEP
4
推拿(すいな)
推拿(すいな)の滾法(こんぽう)にて、体全体のファシア(筋膜)の緊張をほぐしていきます。
STEP
5
お灸
新実践灸法でお灸の施術を行い、痛み、炎症体質の体質改善を行います。
STEP
6
SLRテスト
施術後にSLRテスト(下肢伸展挙上テスト)を行い施術前と比較します。(※SLRテストは一度改善すれば毎回は行いません。)
改善の目安
当院が改善の目安にしているのは患者さんが脱力した状態での膝、股関節の関節可動域です。
本人の意思で関節を動かすことを自動運動、脱力した状態で第三者が関節を動かすことを他動運動と言いますが、重要なのは脱力した状態での関節他動運動の可動域改善です。
検査の段階ではなるべく患者さんに介入するのを避けるようにするため、左の母指(親指)と示指(人差し指)の間に患者さんのアキレス腱を乗せ、右の示指を軽く患者さんの膝蓋骨に添えるだけで静かにSLRテストを行い可動域をみます。
術者が患者さんに接触する事が多くなると、患者さんは緊張するので本来の状態がわかりません。
足首を握った状態でストレッチの様に強引に動かす先生がいますが、足首を握られた瞬間に患者さんの関節固有受容器が反応して緊張してしまいます。
常に脳が緊張している患者さんは「力を抜いて私に足を預けてくださいね」と言っても脱力できない方もおります。
施術を続けるうちに脱力できる様になると改善している指標になります。
大きな手術を受けている場合は要注意
大きくメスがはいることで浅層ファシアが切開されます。
縫合すれば癒合(傷口がふさがること)しますが、本来の位置にするのは難しく浅層ファシアの歪みを生じます。
時間経過に伴い背骨への負担が増し、やがて下肢の浅層ファシアの痛みとなります。
この様な痛みに対して当院の新実践灸法は非常に有効です。